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    5月21日 第2235例会 <藤本副会長> |

    5月21日 第2235例会 <藤本副会長>

    陸前高田の隠れたる名品

    気仙椿という木をご存知でしょうか?

    気仙椿は岩手県大船渡市から宮城県の気仙沼市あたりまで、三陸沿岸に自生し、昔から地元の人々は、気仙椿の種から採った油を様々な用途に使ってきました。肌や髪の手入れ、やけどの塗薬として、また郷土料理であるけんちん汁を作るときなど、料理にも利用してきました。椿は陸前高田市の市の花にもなっています。この気仙椿にまつわるちょっとよい話をさせていただきます。

    陸前高田市では半世紀以上にわたって、気仙町の石川製油所(代表・石川秀一さん)が油の製造を行っていました。椿油に至っては東北で唯一搾油を担っており、作業時期には市内外から多くの椿の実が届けられていました。

    しかし、震災による津波で製油所は被災。施設や機材をすべて流失したほか、後継者でもあった石川さんの長男・政英さんも犠牲となり、個人での再建は非常に困難として、石川さんは廃業を決めました。

    廃業を決めたときに、石川さんは次のように言っておられます。「これまで、多くの方々に利用していただきありがたく思っております。息子がいてくれれば椿油作りも続けようという気持ちになったかもしれませんが、後継者も機械類もすべて失った。今再び『やろう』とは思えません。」

    一方、市の高台にある障がい者の就労継続支援B型事業所「青松館」では廃天ぷら油でBDF燃料精製を製造する事業を行ってきましたが、事業所自体は被災を免れたものの、協力者等の被災によって事業を中断していました。

    青松館では利用者の所得減にも影響するため、新規事業立ち上げが急務となっていました。そこで注目したのが、製造のメドが立たなくなった椿油。青松館では石川製油所の石川さんに協力を求め、国の補助も受けて製油所を開設し、椿油製造を引き継ぐこととしました。

     椿油づくりの継続に対し、石川代表は「継承によくぞ手を挙げてくれたとうれしい。安全で安心な自然のものをお客さんに提供したいとするならば、一肌脱ごうと思った」と喜んでおられます。
     一方、青松館の中村浩行館長は「石川さんの50年以上の技術と品質が何よりの強み。椿油を地域活性化や利用者の所得向上につなげ、地域復興のシンボルにしたい」と話しておられます。

     次年度会長方針においては、東日本大震災への支援活動の継続を表明されています。会員の皆様も引き続き、心に留めて、ご協力お願い申し上げます。

     

     

     

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