10月6日 第2298例会 (吉田副会長)
一昨年まで10月は、職業奉仕月間と米山月間 でした。昨年からは、米山月間は10月のままですが、職業奉仕月間は1月に変わっています。 日本のロータリーの「職業奉仕」について少し述べさせていただきます。10月4日の読売新聞の 「謎解き人物伝」を読んでいたら「石田梅岩」という人物の記事が載っていました。どこかで聞いたことがある名前だなとよく考えてみると、ロータリーで地区の職業奉仕委員長会議などに出席するとよく聞いた名前です。アーサーシェルドンの“He profits most who serve the best” に象徴される ロータリーの職業奉仕の日本版のような思想家です。と偉そうなことを言っても
実はこの記事で初めて知ったことがたくさんあるのですが、1905年にできたロータリークラブの中核である「職業奉仕」の考えが、封建時代の真っただ中の江戸時代の中期の1700年半ばの思想家の考えと共通するところがあるということは驚きです。
ご存じのように、江戸時代の身分制度は士農工商武士が上位に米作りもの作りの農・工がこれに次ぐ。商人は何も生産せず、売り買いだけで金を得る、とさげすまれていた。梅岩は、身分は機能の違いであり、社会的分業であると説明し、商人が真っ当に利益を得ることは当然であると「商人道」を説き、商人が学べる学問を日本で初めて作ったとされています。あらゆる職業にはそれぞれの役割があり、貴賎はないということでしょうか。
梅岩は丹波国東掛村(現京都府亀岡市)の農家の次男に生まれ、京都の呉服屋に奉公。小栗了雲と言う師と出会い、道徳を商人としての経験に融合させた。45歳で独立し、自宅で講義を始めた。「石門心学」の始まりです。梅岩の言葉とされる、「実の商人は先も立ち、我も立つことと思うなり。紛れものは人をだまして、その座をすます。」を あの京セラ名誉会長稲盛和夫氏は「先とは広く社会と解釈できる。すなわち人のため、世のために役立つことをなすことが人間として最高の行為である。」と言っています。江戸時代の思想家石田梅岩の考えが日本の中に根付くことで 明治時代に入ったのち、欧米の資本主義を抵抗なく受け入れられたことに つながったとされています。1920年アメリカ発のロータリークラブが、東京ロータリークラブの創立以降、日本において増え続けたことは、ロータリーの「職業奉仕」の考えに似通った考え方が、すでに日本の中にあったことが関係しているかもしれません。
掲載日:2016年11月2日 | 目次:会長の時間(過去)に戻る