1月24日 第2440例会
「リン」との出会い
三國製薬に入社し一度も出社せずに、富山の燐化学工業に出向した時、初めて黄燐を知った。当時、燐化学は黄燐生産メーカで三國は燐化学から黄燐を購入し、塩化リンを生産していた。
黄燐は燐鉱石を電気炉で分解して作るが、燐鉱石は日本には存在しない。黄燐は危険物、毒物、で非常に取り扱いが難しく、事故も多く、負傷した作業員に面談した。空気中で自己発火するため、水中で保管。
黄燐は全てのリン化合物の出発原料で、日本には、天然資源のリン鉱石が存在しない。原料の素は日本に無い、リンを出発原料とする化学品は医薬、農薬、化学製品、自動車、電機、等々すべての産業に必須の化合物。その中一つ、塩化リンを製造することを生涯の仕事に決めたことで、私とリンの係わりが生涯の仕事になった。
塩化リンは取り扱いが難しく、生産プロセスも研究した文献も少なく自分たちが失敗を重ねながら手探りで作り上げた。
原料の黄燐も燐化学が生産を中止してからは黄燐を求めて、世界中を旅することになった。
掲載日:2019年6月20日 | 目次:会長の時間(過去)に戻る