8月10日 第2539例会
会長の時間 水野会長
Z世代の離職率防止 その1
「絶望の国の幸福な若者たち」の著者として有名な社会学者 古市 憲寿氏の講演に参加してまいりました。
「若者定着企業を作り上げろ!」がテーマで、我々中小企業経営者が昨今よく話題にするZ世代の早期退職にまつわる講演で興味深い内容だったので要点をお伝えします。
若い世代の生活満足度が上がっている。
縦軸を満足度、横軸を年齢としたらUの字を描き若者と高齢者の満足度が高い国が日本。
人間は年齢とともに体力が低下し欲望が減少し「あきらめる」事を知る。
若者が意識の中で諦めている結果、生活満足度が上がっていると分析する。
1980年代の若者の3年以内離職率は30%で現在も離職率は約30%と実はほぼ変わっていない。
Z世代だから離職率が高いというバイアスは捨てた方が良い。
景気が良い時代ほど退職してもすぐに就職先が決まるので離職率が高まる傾向にある。
また小規模事業所ほど3年以内に若者の離職率が高いデーターが出ている。
離職率はシンプルに景気と連動していると考えた方が良い。
若者が会社を辞める原因の三大要素は ①収入 ②労働条件 ③人間関係のミスマッチ。
現在のアメリカ人の平均時給は約320 USD/時
即ち¥4,500/時を超えている。
良い商品をより安く提供するのがこれまでの日本企業の美徳とされてきたが、世界から買いたたかれるだけで残念ながら昨今の国力低下の結果となった。
良い製品、サービスを高く購入していただく営業方針で、特に若手社員に還元する舵取りが必須となる。
利益体質企業にならないと若者離職率の原因である①収入と②労働条件は改善出来ない。
日本の企業は交渉力が弱い。
行列の出来る店はプライシングが誤っている。
ただ頑張る、エールを送るのでは意味が無い。特に若者にはインセンティブが必要。
はじめから出来る人はいないのでトライアル&エラーを行える環境が企業には必要。
われわれ中小企業の経営者は良い製品、サービスを、心を込めて提供し、利益の出る体質改善を行い、大企業より良い環境と給与体系を確立する事がサステナブル企業としてのキーワードになるのではないでしょうか。
掲載日:2023年9月24日 | 目次:会長の時間に戻る