6月11日 第2238例会 <藤本副会長>
健康寿命
本日は「健康寿命」についてお話します。
寿命は人が亡くなるまでの期間ですが、「健康寿命」は健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間だと、厚生労働省は定義しています。もともと世界保健機構(WHO)が2000年に提唱した概念に基づいています。平均寿命から介護を必要とする期間を引いたものが「健康寿命」ということができます。
例えば、高血圧や糖尿病等の持病があっても他人の手を借りずに自立した生活ができる間は、健康と位置づけられます。厚労省の調査によりますと、2010年の健康寿命は男性が70.42歳、女性は73.62歳。平均寿命との差は男性で約9年、女性で約13年ありました。
この期間は寝たきり等で生活の質の低下を招くことがおおく、医療費や介護費などもかかります。平均寿命の延びを健康寿命が上回れば、この期間を短くすることができます。
厚労省は高齢化社会の進展をにらみ、病気になったり介護が必要となったりする時期を遅らせることに重点を置いてきました。国民の健康づくりの指針となる「健康日本21」を2000年度につくりました。さらに2013年度から始まった「健康日本21」の第二次計画では、健康寿命を延ばすことを第一に掲げています。
日本は、世界一の長寿国となった今、健康寿命をいかに延ばすかを考え、実行することが重要となっています。
ところで健康寿命を伸ばすためには何をすればいいのでしょうか。俗に「テクテク・カミカミ・ニコニコ・ドキドキ」などといわれているが、これは適度な運動(テクテク)、3度の規則正しい食事(カミカミ)、心の健康(ニコニコ)、五感を使った感動(ドキドキ・ワクワク)を指します。
しかし、よく考えてみると、普通に規則正しく働いていればこれらの要件はほぼ満たされるが、仕事を辞めて家にいると、これらの要件を毎日充足することはかなり難易度が高くなることに気がつきます。つまり健康寿命を伸ばそうとすれば、少なくとも70歳ぐらいまでは、働きたい人はすべて働けるような社会環境を整えることが必要ということになります。
掲載日:2015年7月9日 | 目次:会長の時間(過去)に戻る